不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

東京フィルハーモニー交響楽団

  1. カリンニコフ:交響曲第1番ト短調
  2. ショスタコーヴィチ:オラトリオ《森の歌》Op.81

 カリンニコフの交響曲はあまり好きではない。メロディーが非常に美しいのは間違いないが、ハーモニーが薄いというか《主旋律だけですか?》というか……。実演で聴いても、オーケストラの音が薄いなあという感慨を覚えたまま終わってしまった。とはいえ、フェドセーエフは冒頭からフワリとしたサウンドを引き出しており、さりとて決して下品にコブシを入れず、終始適切に節度を保っていたのは好印象。特にオーボエは好演だったと思われる。危なっかしいホルンだけが雰囲気浮いてたなあ。間違っても良いから、もうちょっと自信を持って堂々と吹けないのだろうか。
 後半の《森の歌》は、まずは東京オペラシンガーズ上手い! それほど人数多くないが、力感に欠けることもなく、もちろん弱音では少人数であるメリットを享受。ディクションも日本人っぽくなくて、少なくとも私は違和感を感じなかったが、ロシア語べらべらな人に聴かせるとまた違うのかもしれない。いずれにせよ、この合唱団が使われるコンサートはチェックしておくか……。少年合唱やオーケストラも頑張っていた。そもそもフェドセーエフの示す楽曲のグランドデザインも実に的確、非常にまっとう。テノールとバスも、声自体は良かったので、まあこんなもんでしょう。慣れないロシア語歌唱お疲れ様でした。それを除けば、終始充実した響きが堪能でき、超満足。