マリンスキー歌劇場管弦楽団
- ワーグナー:楽劇《ラインの黄金》より《神々のワルハラへの入場》
- ワーグナー:楽劇《ワルキューレ》より《ワルキューレの騎行》
- ワーグナー:楽劇《ワルキューレ》より《ヴォータンの告別と魔の炎の音楽》
- ワーグナー:楽劇《ジークフリート》より《森のささやき》
- ワーグナー:楽劇《ワルキューレ》第一幕
- アレクセイ・ステブリアンコ(ジークムント)
- ムラーダ・フドレイ(ジークリンデ)
- ゲンナジー・ベズズベンコフ(フンディング)
- ワレリー・ゲルギエフ(指揮)
オーケストラの状態はなかなか良かったです。そんなに精緻じゃないけど、充実していたと思料されます。反面、サウンドだけで「おお、すげえ」と思わされる瞬間もなく、ゲルギエフの解釈も常套的な面を感じてしまいました。また、前半の《ヴォータンの告別の魔の炎の音楽》は、管弦楽曲としてやる場合通常であればテューバ等に置換される、ヴォータンの声楽パートを完全にオミットし、オペラの伴奏としてピットの中で実際に弾く部分しかやってくれませんでした。若干欲求不満を覚えたことを付言しておきます。
がしかし、後半の《ワルキューレ》第一幕、これは素晴らしかった。多分曲の力だが。
ジークムントの歌手はちょっと調子悪そうで、歌詞も頭に入ってなさそうでした(早いパッセージは、少々崩れてた)。しかし声そのものは悪くなかったので、まあ怒り出すほどではない。そして、ジークリンデとフンディング、この二人は普通に楽しめました。オケもテンション高め。オペラとは歌によるドラマなので、これらの諸条件が傑作において揃うと、非常に素晴らしい効果を出してくれます。愛と戦意の高まり、実に素晴らしかったです。
……しかし、兄妹の近親相姦を感動的に歌い上げられると、反応に困る面もありますな。「あなたは、剣とともに妹を得る!」と妹が兄に情熱的に歌いかけるとか、普通あり得ないっす。ジュブナイルポルノとかで、こんなのあるのかしら。