不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

新日本フィルハーモニー交響楽団

  1. 江村哲二武満徹の追憶に《地平線のクオリア
  2. ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番ハ短調Op.35
  3. (アンコール)Zivojin Glisic:Preludium and Pajduska
  4. ショスタコーヴィチ交響曲第4番ハ短調Op.43

 コンサート聴き初め。
 まずは、世界初演から始まる。武満徹の没後10年の幕開けに相応しい、なかなか良い現代音楽であった。二群に分かれる弦も、対決というより和合の趣が強い。ふわふわした質感をかなり美味しくいただきました。
 そして生誕100年を迎えるショスタコーヴィチ
 協奏曲は、トルプチェスキがたいへん素晴らしかった。軽快・軽妙・リズミカルに音を紡ぐ。技術的にはほぼ完璧。第二楽章で見せた、ふわりとしたタッチ、それによって儚く歌われる旋律。いやあ美しい。そしてアンコールでは、祖国マケドニアの曲を披露。狂ったように旋回する舞曲を、あくまで節度と軽さをもって表現。次回来日時も聴きに行きたい演奏家ですね。ヘルツォークのトランペット、オケの伴奏も万全でした。
 交響曲はとにかく素晴らしかったとしか言いようがない。特に第一楽章は強烈なまでのハイテンション! だれるなんてことは一瞬たりとてなく、130名を超える大編成のオーケストラを十全に鳴らしきり、しかし繊細な表現も万全。一部に瑕は見られたとはいえ、オーケストラもかなり上出来。オケも客席も、雰囲気超厳粛。ショスタコーヴィチ最高の交響曲を最高の演奏で聴いている、という確信を少なくとも聴いている間は抱かされた。感動。泣いた。やはり、日本のオーケストラもここまでできるんですよ!