読売日本交響楽団
- 佐藤しのぶ(ソプラノ)
- 坂本朱(メゾソプラノ)
- 中鉢聡(テノール)
- 三原剛(バリトン)
- 武蔵野音楽大学合唱団
- スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(指揮)
解像度が高く、楽曲が手に取るように《見える》俯瞰は素晴らしい。そしてオケの状態も良く、反応も鋭敏であった。ブルックナーの6番と異なり、第九は毎年複数回弾いているので慣れている、ということもあるのではないかと思った。もちろん若干の瑕疵はあり、特にホルンの音外しが目立つのはデフォルトだが、まあ気にしないことにする。第三楽章でふわりとした柔らかくブレンドされた音が出ているのも、少々意外であると同時に、非常に感心した。というわけで、総じて好演であったといえよう。
問題は声楽。佐藤しのぶはオエオエ言ってるだけ。指揮者の指示を守る能力がないことはもちろん、守ろうという知能も怪しいような気がした。あんな糞演やっておいて悦に入った表情を浮かべているのは見ていて不愉快。《さまよえるオランダ人》の多田羅でさえ、カーテンコールでの表情は硬かったぞ。テノールの中鉢は、ディクションがいかにも日本人日本人していてアレだった。言葉をはっきり、リズミカルに、というのは多分指揮者の指示なんだろうけど……。三原はそれなりに違和感なく聴けました。合唱団も、まあこんなもんでしょう。
……しかし、オケつきの合唱使用曲、外国の一流合唱団でいつか聴いてみたいなあ……。最近、聴くたびに欲求不満を覚えるようになってしまった。