不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

サンクトペテルブルク交響楽団

  1. チャイコフスキー:バレエ《白鳥の湖》Op.20より
  2. チャイコフスキー:バレエ《眠りの森の美女》Op.66より
  3. チャイコフスキー:バレエ《くるみ割り人形》Op.71より
  4. (アンコール)グラズノフ:バレエ《ライモンダ》より第五幕間奏曲
  5. (アンコール)グラズノフ:バレエ《ライモンダ》より《スペイン風の踊り》
  • アレクサンドル・ドミトリエフ(指揮)

 前日は大阪でコンサートだったようだが、中部地方の雪の影響で開演時間に楽器が届かず、結局マチネーがソワレになってしまった。客席にもかなり空きが……。しかし演奏は大変素晴らしいもので、二級の位置にいるオケらしく(?)悪条件をものともしない感じが良かったです。
 とにかく謹厳実直! 曲目が曲目なので、もっと色々仕掛けられたはずだが、真面目な姿勢で貫徹。「これが聴き所ですよ!」なんて素振りを見せず、禁欲的に楽譜と向き合った演奏であった。そして、そのような姿勢を突き詰めれば、後は楽譜が勝手に歌い始めるのである。非常に大袈裟に言えば、演奏者たちの無私の努力に名曲が応える、心温まる瞬間に立ち会えた。名曲をしっかり聴いたという充実感は、何物にも替えがたい。
 また、オケの技術水準が非常に高くて感心した。ドミトリエフもオケを細部まで掌握しているのが見て取れ、関係も良好であるように見えた。海外オケにしては安めの料金設定だったし、次回の来日があれば、興味ある方は行った方がいいよ。