不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

13のショック/リチャード・マシスン

13のショック (異色作家短篇集)

13のショック (異色作家短篇集)

 小粋な短編集。この作家は、濃厚なロマンティシズムに満ちた『ある日どこかで』(時を越えるストーカー!)しか読んでいなかったが、『13のショック』では一転、非常にシンプルでスッキリした作品が続く。古い云々以前に、各編がとても短いため、色々と盛り込めなかったし、また盛り込もうともしなかったのだろう。何せ270ページ程度に13編ですからね。
 とはいえ、個人的な好みだと「死者のダンス」「死の宇宙船」だったりするのが、私の真のストライクゾーンがシンプルさにはないことを示している……のだろうか。でも一番短くかつ一発ネタの「レミング」も大好きな辺り、自分でもよくわからなくなる。
 いずれにせよ、シンプルな短編をさくさく読むのが好きな人には強くお薦めしたい。