死のオブジェ/キャロル・オコンネル
- 作者: キャロルオコンネル,Carol O'Connell,務台夏子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2001/08/25
- メディア: 文庫
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シリーズ第三弾、傷を抱えている人々の織り成す、愛憎の篭もった人間ドラマが素晴らしい。実際、この作家はキャラに焦点を当てて読むべきなのではないだろうか。もちろん、ミステリ・小説としての構えも非常にがっちりしているので、キャラだけの小説ではないのもポイント高い。捩れたプロットと、分厚いが温かい文章に慣れさえずれば、安心して読める。
今回の特筆事項は、シリーズ・キャラにも動きがあることだ。事件に触発されたのか、マロリーが、養父母にさえ語らなかった過去の一部を垣間見せる。また、それとの直接の関係はないが、チャールズが益々壊れてきた。登場するたびに悶々としていると言っても過言ではない。そして彼らは、ラストで次作への期待を煽ってくる。
作者の亡き父への献辞と、マーコヴィッツの死に関する表現が同一なのも印象的な一編であった。