不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

バイエルン放送交響楽団

  1. チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調Op.23
  2. (アンコール)ブラームス:ピアノ・ソナタ第3番ヘ短調Op.5より第3楽章
  3. (アンコール)ドメニコ・スカルラッティソナタハ短調(すまん作品番号わからん)
  4. ショスタコーヴィチ交響曲第5番ニ短調Op.47
  5. (アンコール)グリーグ:《ペール・ギュント》第2組曲より《ソルヴェイグの歌》
  6. (アンコール)ストラヴィンスキー:バレエ組曲火の鳥》(1919年版)より《カスチェイ王の魔の踊り》

 どいつもこいつも馬鹿ウマ。素晴らしい。
 ブロンフマンはもう無茶苦茶。何がどうなろうと音の粒立ちやリズムが明快。聴いて驚愕、勢いに呆然。去年のラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番と同格の、素晴らしい演奏。アンコールも、ブラームスを力強く、スカルラッティで哀愁を漂わせて弾き、見事に出番を締めてくれました。
 オケも素晴らしい。音がビタビタ合っている。全体的にサウンドはまろやかなのに、細部もクリアに聴き取れ、ダイナミックレンジの広さにも感動。特にショスタコーヴィチは、弦も木管金管も打楽器も、とにかく全てが素晴らしかった。いやもうこの曲なのに、あまりの美しさに陶然と聴き惚れていた。少なくともあの時、私にはあのサウンドさえあれば他に何も要らなかった……。
 ヤンソンスの解釈は、本当にまっとうなもの。派手でもなく、地味でもなく、中庸というほど禁欲的でもなく、見せ場はたっぷり作るが、あざとくはならない。ただ弱音を本当に大事にしているように見受けられた。
 とにかく、今日は本当に感謝したい。