チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
- ズデネク・マカル(指揮)
前半のモーツァルトは、柔らかな響きで実にたおやか。色々と非常に自然体。先週のデュトワ指揮下でのコンサートは、曲目が恐らく通常の彼らの演奏頻度上位には入っていないと思われるが、この曲には慣れていると思わされた。まるで一つの楽器であるかのように、オケ全体が調和の取れたサウンドを奏でていたのが印象的。ああ美しいなあ……。しかしながら、モーツァルトの管弦楽作品の魅力は、楽器やパートの絶妙な衝突と絡み合いにあると思っているので、今日のように単色で攻められると、最初はいいんだが段々飽き足りなくなってくる。美しいがダル。そんな気がした。たいへん申し訳ない。
後半のマーラーは、サウンド作りの基本路線は変わらないのだが、さすがに何をどう頑張ってもスコアが極彩色なので《単色》にはなっていない(なれない)。解釈上は特に変なことをしない代わりに、妙に丸く収めるなんてこともせず、生のままの迫力が十分に感じられる演奏であった。トランペットやホルンの各首席も健闘。音がビタビタ合っているというわけでもないが、破綻とは程遠い。全体的には見事な演奏だったと思う。
マカル(マーツァルとも呼ばれる)という指揮者は、許光俊に指揮姿が醜いとボロクソに貶されているため、どんなのか興味津々であった。確かに貧相な人だし、打点とかわかりにくいが、そこまで言うことはないと思いました。今日は指揮者よりもオケの功績が大きいと思ったが、まあそこら辺は演奏者以外は窺い知るのが実は難しいところだから、判断保留。こんなところですかね。