ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
- リッカルド・ムーティ(指揮)
前半のシューベルトは、先週に引き続きウィーン・フィルのサウンドを堪能。ただし正直この曲好きじゃないわけで、ウィーンの保守本流を自認する人々がやったらこうなるだろう、という演奏をされても、その認識を変更させられることはない。でも満足。
後半は掛け値なしに素晴らしかった。曲も曲だし、演奏者も聴き手も集中力が格段にアップ。高貴な音色には高貴でクレバーなヒンデミットがよく似合う。似合うのだが、いや本当に素晴らしかった。ウィーン・フィル側が「これは俺たちの音楽だ!」と胸張って言えない曲なので、指揮者との意思疎通も万全。この曲でこんなに感動するなんて思いませんでしたよ。そしてリヒャルト・シュトラウス! 結構遅いテンポで、じっくりと死と浄化のドラマを掘り起こしてゆく。ドロドロしたものが出ていて、まあ元々そういう曲なんだけどやはりこのオケで聴くと格別ですね。ムーティの真面目なスタンスにも好感を持ちました。
指揮者がまだ腕を下ろしていないのにバチバチ拍手し始めた二階C席の馬鹿には、久々に本気で殺意を覚えました。そんなに曲の終わりを知っていることを自慢したいのか。或いはエキサイトし過ぎて拍手早く始めざるを得なかったのか。いずれにせよ、余韻または大ホールの静寂の快感を感知できぬ者に、クラシック音楽なんか聴かせても仕方ない。他の趣味持てば?
そしてアンコール! 《運命の力》序曲なんていったら、そりゃあんたムーティの必殺技なわけで、しかもオケはウィーン・フィル、悪かろうはずがないではないか。弦も木管も金管もとても素晴らしい。圧倒されました。やっぱり音楽っていいなあ!