不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

猫丸先輩の空論/倉知淳

猫丸先輩の空論 (講談社ノベルス)

猫丸先輩の空論 (講談社ノベルス)

 落語には詳しくないんで信用されるのもアレだが、何となく落語っぽい文章であり、非常に口語調というか、高座で身振り手振り交えて喋ったら様になりそう。前からこの傾向はあったが、このシリーズが講談社ノベルスに移ってから、より一層症状が進行したように思う。倉知淳だと『過ぎ行く風はみどり色』『星振り山荘の殺人』『壷中の天国』が文章も込みで最高傑作群と思っているため、個人的にはこの語り口は鬱陶しい。「お前さん」とか呼びかける口調、俺大嫌いなんだよ。すいません完全に我儘です。
 ネタは可もなく不可もなし。ちょっといい加減な推理だが、話の性質上、この隙の多さは欠点ではなく特徴と捉えるべきだろう。