2005-09-12 ホームタウン/小路幸也 小説 ホームタウン作者: 小路幸也出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2005/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (38件) を見る 北海道の老舗デパートの秘密探偵という、ケレン味しかない設定をもって、普通にハートウォーミングな物語を作り上げようとする無茶が素晴らしい。主人公の上司は、裏の世界では立志伝中の人物らしいし、普通だったら真面目な顔ではとても書けないはずだ。この作家すげえ。妹の失踪事情も、客観的には噴飯ものというか「ハァ?」であり、私にもし創作能力があったら、斜に構えて描出するところだが、小路幸也はあくまで正攻法、《これは心温まるお話なんですよ皆さん》というスタンスを堅持する。 こういう感性の人もいるんだ、と感じ入った次第。いやまあこういう感性の人いるのは先刻承知ではあるんだが、やっぱ出くわす度にしげしげと見てしまうわけですよ。なお、完成度は高いので、小路ファンには普通にお薦めできると思われる。