不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

GOSICKs/桜庭一樹

 短編集。一弥とヴィクトリカ、アブリルにセシル先生の『GOSICK』以前を細やかに描出する。シリーズの時系列と『GOSICKs』刊行がただでさえ一致していないのに、本短編集の中でさえ素直に並べないのが心憎い。
 ミステリとしては今まで以上に小粒。軽量級を通り越し、ミステリとして読むと不満しか残らないのではないか。代わりにキャラの魅力をたっぷり味わえる。もっとも、描き込めば描き込むほど、ヴィクトリカを灰色狼として恐れる人々が針小棒大の阿呆にしか見えなくなるのは……正直少し引っ掛かりを覚えるのだった。