女王様と私/歌野晶午
- 作者: 歌野晶午
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/08/31
- メディア: 単行本
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しかし問題がないわけではない。弱点は、おたくへの誤解と、その誤解への作者の無自覚である。
おたくというものは、以下の二つの側面を持っているのだと思う。
- 己の趣味の、徹底的な求道者。凄い該博。
- 人間として気色悪い。
『女王様と私』の主人公を、作者は間違いなくおたくとして捉え、描こうとしている。しかし主人公は、上記2の特徴しか持っておらず、1が全くといって良いほど描かれないのである。これでは彼は単なる気色悪い人に過ぎず、おたくとしては成立していない。もちろん小説なので現実に即す必要は全然なく、そもそも主人公がおたくであると考えず、最初から気色悪い人として設計されたのだと思えば、平仄は合う。しかし歌野晶午は間違いなく、そこまで考えておらず、自分の描いた主人公のような人間が「おたく」なのだと信じているように思えてならない。他の登場人物も、主人公のことをおたくと見ているようだし……。厳密に言えば、だからといって作品主題上特に瑕疵とはならないが、この作家の限界が垣間見えたようで少々寂しい。
……読み返したが、「作者が主人公のことをおたくだと考えている」根拠を示せていないので頭悪い子の書いた文章になってますね。いや本当に申し訳ない。吊ってきます。
*1:対置される作品名を具体的に書いておりましたが、実質的にはネタバレと思い直し、文面変更しました。前のを読んでしまってた人は、申し訳ないが忘れてください。