不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

デカルトの密室/瀬名秀明

デカルトの密室

デカルトの密室

 ごめんなさい。私は頭が悪いので、全く理解できませんでした。お手上げです。
 基本的にはロボット/人工物の自我や意識を巡る物語で、インナー系SFとしての味付けがとんでもなく濃厚だ。哲学的思索との密接なつながりには鬼気迫るものがあり、読者は一瞬たりとも気を抜けない。ロボット・ケンイチが健気に成長してゆく姿も、並みの作家であれば、科学者との心の交流を平易な文章で温かく描出するところであろうが、瀬名秀明は交流シーンでさえ常に難解なテーゼを全面展開、辛うじてケンイチが健気であることくらいしかわからなかった。
 たぶん傑作だが、私の手には余った。スペックの低さを思い知らされ、鬱になってしまった……。