不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

骨と髪/レオ・ブルース

骨と髪 (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)

骨と髪 (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)

 レオ・ブルース初読(ちょっと待て)。
 1961年の作だが、とても古典的な均衡美を感じる作品。軽くて手堅い本格ミステリであり、真相を証明する要素こそ弱いが、事件の構図そのものは及第点*1。ユーモラスな筆致で快調に物語を進めてゆくのが印象的な佳作。原書房のヴィンテージ・ミステリ・シリーズは、この装丁になってから基本的に水準が低いけれど、『骨と髪』はその中ではなかなか上出来だと思います。ただし、ラスト1ページで名探偵を針小棒大に誉めそやすのは感心しなかった。なぜかは書けませんが。

*1:まあ意外ではないですが、私はそもそも意外性の有無を本格の重要な判断基準とは考えていません。