不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

空獏/北野勇作

空獏 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)

空獏 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)

 この作家初読。
 内容はあとがきどおりである。つまり、奇妙で、前後の繋がりが意味不明、それでもなお戦争小説、という作品。
 さすがにヴォネガット云々は言い過ぎ(というか作者の意図の在り処が、優劣とは無関係なところでかけ離れているように思う)だが、親しみやすい語り口で、解釈の余地しかない小説を書き記しているのが好印象。楽しめたのでこれはこれで良し。ただ、この作者ならばもっと素晴らしい作品を書けそうな気もする。他のも読んでみるか。