不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

今ここにいるぼくは/川端裕人

今ここにいるぼくらは

今ここにいるぼくらは

 事実上のオムニバス形式で語られる少年小説。既読の川端作品と比べると、何も起きないと言っても構わないし、綿密な取材が要求されるような話でもなく事実そういう意味での情報量は少ない。しかし少年たちの言動をとても端正に処理してゆく手捌きが素晴らしい。いつものご都合主義も目立たない、普通に甘さも酸っぱさもある、万人にお薦めの作品。
 ところでこの作品、叙述トリック使ってる? 俺は馬鹿なんでよくわからなかったのだが……。