不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

白いへび眠る島/三浦しをん

白いへび眠る島

白いへび眠る島

 十八の夏休み、古くからの風習が色濃く残る島へ帰省する高校生。折りしも島では十三年ぶりの大祭が準備されているところだったのだ……。
 しをん初体験。なかなかいいじゃないですか。物語は全編、清潔感あるすっきりとした筆致で進められ、ホラー的な要素が顔を出すもまったく下品にならず*1、終始一貫して等身大の十八歳をしっかり描出するのだ。変なクセのない、幅広くお薦めできる佳品である。

*1:ホラーが下品という意味ではありません。そう読めるとしたら、私の文章が拙いというだけです。