不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

花まんま/朱川湊人

花まんま

花まんま

 六編が収められた短編集。いずれも、大阪の下町を舞台に、幼年期の懐かしい記憶をファンタジー/ホラーに絡めて描く。涙あり笑いあり無常あり苦みありだが、全編、追憶の雰囲気に溢れているのが共通している。色調も一編を除き、暗めで統一。うまいね。明晰な意識をもって読解しなければならない類の小説ではなく、ほんわかした読書を堪能するための小説であり、好きな人にはたまらないだろう。