2005-05-23 ヴィーナス・プラスX/シオドア・スタージョン 小説 ヴィーナス・プラスX (未来の文学)作者: シオドアスタージョン,Theodore Sturgeon,大久保譲出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2005/05/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 10回この商品を含むブログ (48件) を見る ジェンダー小説としては、私の乏しい読書体験の中でのことと断りを入れた上で、最高水準を行くと言ってしまおう。スタージョン一流の情感に彩られたユートピア小説と、アメリカの家庭を幸せ一杯に描いていると見えるパートを交互に読まされてゆくうち、知らず知らずのうちにペースに乗せられ、最後に読者は「おお、なるほど!」と世界観/ジェンダー観を受け容れてしまう……かも知れない。少なくとも、その淀みなき倫理の進行に《こいつ結論のために無理矢理捻じ曲げたな》という不自然さは皆無。確かに好悪は出るかもしれないが、私は大好きだし、公平に評価すれば、本当に素晴らしい作家と言わざるを得ないだろう。列聖決定。ファンは必読。