不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

百番目の男/ジャック・カーリイ

百番目の男 (文春文庫)

百番目の男 (文春文庫)

 気のいい警官だが暗い秘密を抱えるカーソンを主人公に、彼とコンビを組むハリーの掛け合い、警察内部の権力争い、カーソンが想いを寄せる検死官アヴァ(でもアル中)など、色々楽しそうで、実際に軽快に進むサイコ・サスペンス。
 ……なのだが、作品は全体的に非常にごたごたしている。プロットの要請や情感描出の高尚さによるものではなく、単純にヘタなのだと思われ。様々なことをやろうと欲張っているが、何も読者の頭に留まらない。今後よほど評判が高まらない限り、この作家の作品を再び手に取ることはないだろう。
 ただし、帯でも称揚されている《動機》には笑った。ここで一気にバカミス化。これ映画化できるんですか(笑)。