2005-04-13 ギブソン/藤岡真 小説 ギブソン (ミステリ・フロンティア)作者: 藤岡真出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2005/04/09メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (36件) を見る 小説としては異様にスカスカである。登場人物は無味無臭、物語は進めど進めど何処に向かっているかさっぱりわからず、緊張感や印象に残るシーンも遂にない。文章も朴訥としており、ストーリーテリングや情感を端から排除。捜査や推理の過程が特に興味深いわけでもない。正直取り止めがなく、ミステリに慣れていない人は退屈だと途中で投げ出すかも。 しかしだからこそ何かを仕掛けている可能性は大であり、ラストは案の定《うぬ、そう来るか!》系の真相を提示してくれた。再読すると多くの伏線が見付かりそうだ。どちらかというとバカミスやも知れぬが、非常に完成度の高いミステリであることは間違いない。個人的にはニコニコしながら受け容れたい作品である。