最後の願い／光原百合

最後の願い

　劇団の人材探しから旗揚げまでを、大変綺麗に纏め上げた連作短編集。各編が日常ミステリとなっており、そちらの出来も良い。活き活きとした登場人物たちが織り成す、時に甘く、時に切ない物語は、非常に美味しくいただけるのだった。洗練され過ぎない、何と言ったらいいか《手作り感》があるのもいい。……やはりこの人、小説書くのはうまいのかなぁ。俺、『孤島パズル』解説のあまりにも重い十字架ゆえ、この人過小評価してたかも。
　とはいえ他の作品を一気に読もうという気にならないのは、要するにいい話ばかりなんじゃないかと思ってしまうからだろう。滅びと黄昏こそ我が望み。