新・世界の七不思議/鯨統一郎
- 作者: 鯨統一郎
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2005/02/24
- メディア: 文庫
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今回は正直質が落ちている。各話の最後で仮説をさらりと出し、それが結論でございと飄々とした態度に終始する。前作はもっと力んでいたはずで、それが説得力というか、ネタとして強力なものになりおおせた。その点、今回は掘り下げが浅いと言わざるを得ない。登場人物の会話も、論議というよりは混ぜっ返し・じゃれ合いであり、仮説そのものに対する検証はほとんど皆無。仮説の検証の質こそ、この手のミステリでは最も重要な要素だと思うのだが。
……とはいえ、デビュー以来の動向を鑑みれば、この作家においては『邪馬台国はどこですか?』がむしろ例外的だったと考えられる。この作品に対する私の個人的印象も、この作品を読んで失望したというよりも、予想どおりといったものである。
鯨統一郎ファンに。