不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

ホミニッド/ロバート・J・ソウヤー

ホミニッド-原人 (ハヤカワ文庫SF)

ホミニッド-原人 (ハヤカワ文庫SF)

 ネアンデルタールが進化した平行世界との邂逅……。
 どうも乗り切れなかった。珍しくネタ自体では勝負して来ず、人間ドラマ(と言うかヒト科ドラマだが)で魅せようとしている感がある。しかし、そこかしこで、感動路線を狙おうとしてるんじゃないかと思えてならず、イヤぁな感じであった。ヒロインが事前にレイプされる件など、キャラの肉付け以外の何がやりたかったのかよくわからぬ。人間社会を描こうなどと慣れないことをするから、他にも色々と無理筋なところが……。キリスト教で宗教を代表させるのも、ファンとしては哀しいところだ。続編が出るなら付き合うだろうが、その時には是非、いつものトンでも世界を構築して欲しい。