不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

ほうかご探偵隊/倉知淳

ほうかご探偵隊 (ミステリーランド)

ほうかご探偵隊 (ミステリーランド)

 気軽に読める、スマートな日常の謎。完成度は高く、王道の子供向け本格ミステリと言えるだろう。お薦め。

(以降、ネタバレ危険。と言っても自分語りなんで見ても仕方ないです)

 でも……これは不意打ちだったなあ……。精神的に来てしまいました。今年のその日、仕事が爆発しない限り、私は多分オペラシティで「今日はミシェル・コルボの誕生日なんだ!」と言い張っていることだろう。もちろん心の中で。傍らには誰もいないというか、見知らぬおっさんかおばさんが座っているだけに違いなく、実際に口に出して言うと基地外扱いされて終わるはずだ。よって、私はそのようなやけくそ気味な発言さえできず、静かに会社を出、静かに会場に到達し、静かに座席につき、(ここだけはこれで構わんのだが)静かに音楽を聴き、静かに会場を出、静かに帰途につき、静かに帰宅し、静かに感想をアップし、そして静かに眠りに就くのだろう。いっそそのまま永遠の眠りに。でもどうせ翌日も目覚めて仕事なのだ。相手がいるか、結婚しているか、今偶々一人というだけか、もう飽きたか、いずれかの道を辿った、一般人に囲まれて。

 はぁ。何やってんだろ俺。

 で、これって『ほうかご探偵隊』を楽しんだって言うのか?