不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

五嶋みどり(ヴァイオリン)

  1. ウィア:247本の弦のための音楽
  2. イサン・ユン:ヴァイオリン・ソナタ第1番
  3. ゲール:ヴァイオリンとピアノのための組曲
  4. クルターク:ヴァイオリンとピアノのための3つの断章
  5. ルトスワフスキ:パルティー

ピアノ伴奏:ロバート・マクドナルド

 二日連続の五嶋みどりだが、今日はハードな現代音楽プログラム(と言ってもイサン・ユンとルトスワフスキは故人だが)。一番古いクルタークの作品でも1979年作曲(出版は1997年)。そして、メロディーこそ音楽と思い込む人々はぶち切れるであろう曲ばかり。私も、ルトスワフスキのしか、CDでも聴いたことありません。しかもアンコールなし! 五嶋みどりというだけで来るようなド素人に、真っ向から喧嘩を売るような演奏会といえよう。
 演奏は素晴らしかった。緊迫感溢れる奏楽は、昨日以上に顕著で圧倒された。五嶋みどりは近現代ものが得意なんじゃないかなと思ってみたり。
 各々の曲だが、ウィアの《247本の弦のための音楽》は、正直よくわからなかったと告白しよう。イサン・ユンは、負の情念が渦巻いていて楽しめた。CDを探そうと思う。ゲールは、特徴的なフレーズが手を変え品を変え出て来る第一楽章が特に良かった。
 しかし、ここまでの三人と、クルターク及びルトスワフスキを対比すると、格の違いに慄然とせざるを得ない。まるでウェーベルンのような静謐さ(あの弱音の緊張感!)を持つクルタークの《ヴァイオリンとピアノのための3つの断章》はまさに傑作だと思う。自らのクラヲタ的知見の観点からは、今日一番の収穫であった。そしてルトスワフスキの《パルティータ》! もう何も言えません。感動しますた。次はオケ伴奏ver.で聴いてみたいなあ。(キモヲタの欲望はとどまるところを知らない)