五嶋みどり(ヴァイオリン)
- ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番《春》
- ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ
- ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ
- ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番
- (アンコール)ベンゲル:海の貝殻
- (アンコール)クライスラー:愛の喜び
ピアノ伴奏:ロバート・マクドナルド
ヴァイオリン・ソナタを4曲立て続けに演奏するプログラム。かなり重量級。
五嶋みどりが鋭角的な音楽作りをすることを、実演の上でも確認できたことは個人的に収穫。ピンと張り詰めた緊張感は真に素晴らしく、なるほど世界トップクラスの実力者なのだなと感銘を受けた。特にヤナーチェクは鮮烈。しかしブラームスとなると、聴き手のこちらに「この作曲家って、弛緩も必要なんじゃないの?」という思い込みがあり、演奏もその思い込みを叩き潰すレベルには到達しておらず、残念であった。いや、いい演奏ではあったのですよ。
なお、ドビュッシーは、緊迫感が印象派的な余情を吹き飛ばしているにも拘らず、実に面白い演奏であった。ベートーヴェンも、洗練された質高いもの。アンコールは小曲なのにハイテンションで笑った。2005年の個人的スタートは、なかなか芳しいものであったと思う。