東京佼成ウィンド・オーケストラ
- プーランク:フランス組曲
- メシアン:異国の鳥たち(ピアノ独奏:上野真)
- 武満:ガーデン・レイン
- 武満:室内協奏曲
- ストラヴィンスキー:エボニー・コンチェルト
- ショスタコーヴィチ:ジャズ組曲第1番
- ヴァイル:小さな三文音楽
指揮:岩城宏之
あまりにも美味しいプログラミングなので、本年最後のコンサートとして聴いて来た。
結果としては、曲によって満足不満足に差が出来た。一番ダメだったのは金管のみによる《ガーデン・レイン》で、奏者がもさついていた。曲の繊細さを持て余している印象。もっと腕の立つ方々で聴きたい。
他の曲については、岩城宏之の真っ当な、それでいて微細ではない(はっきり言えば常套的な)音楽作りが曲に適するかがポイントとなった。ストラヴィンスキーとショスタコーヴィチはやや期待外れ。作曲者が取り入れたジャズのイディオムを活かし切れていない。特にリズム! 要は全般に、ちょっと四角四面過ぎたのである。純正クラシック演奏家がジャズを弾いたらこうなります、という感じの演奏だったので、異文化コミュニケーション的なオモシロサはあり、全否定するつもりはないですけど……。
良かったのはプーランク、メシアン、ヴァイル。ヴァイルはコンサートの最後を飾る曲目だったためか、それなりの盛り上げがあって楽しめた。ジャズの側面は相変わらず弱かったけれど。プーランクは端正に決めてくれました。もうちょっと遊んでくれた方が好みですけど。武満徹の《室内協奏曲》は、木管群の蠢きが素晴らしく、演奏者もそれなりに健闘。やはりこの作曲家は柔らかい音色を持つ楽器がお得意なのかなと。金管は奏者が下手だったら目も当てられんので、リスクは余計に高まっております……。
そしてメシアン! これは掛け値なしに素晴らしかった。心なしか演奏家も当日中、テンションは一番高かったように思う。ピアノもgood。やはりメシアンは実演に限りますなあ……。
というわけで、近代作曲家の性質の違いを実感できる、大変興味深いコンサートであった。