不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

七月七日/古処誠二

七月七日

七月七日

 例によって戦争もの。日系アメリカ兵から見た、サイパンの戦い。

 エピソードの積み重ねによって、あの戦争の悲劇・惨劇を多面的に描く作品である。個人レベルの感情・感傷・思弁に拘るのは古処らしい。しかし今回は、エピソードの集積でしかないためか、《核心》の周囲をぐるぐる旋回し続けるようなもどかしさが残る。ズバっと切り込む瞬間が今回は皆無なのが気になってならない。
 ていうかそろそろ他のネタを……。