不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

炎に消えた名画/C・ウィルフォード

炎に消えた名画(アート) (扶桑社ミステリー)

炎に消えた名画(アート) (扶桑社ミステリー)

 野心に満ちた若手美術評論家が咬む、やばい企みとその顛末。展開等はノワール(と呼ばれる小説群)の常道を出ないが、モダンアート談義がなかなか印象的かつ特徴的で、読ませる。アートには何か深遠なものがありそうだ、と思わせることに成功しており、しかもそれをノワールっぽい文章で達成した辺りが素晴らしい。
 というわけで、そこそこ楽しめた一編と言えよう。