不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

十字路/江戸川乱歩

江戸川乱歩全集 第19巻 十字路 (光文社文庫)

江戸川乱歩全集 第19巻 十字路 (光文社文庫)

 渡辺剣次原案の長編。乱歩とはわからないくらい、近代的なミステリと思う。おどろおどろしいところも、児戯めいたところも皆無。ストレートでスマートな、都会派ミステリーなのであった。私はこういうのを乱歩には求めていない。というかこういう話であってみれば、わざわざ小説にしなくても、サスペンス劇場でやっていただいた方がいいんじゃないでしょうか。

 というわけで私は全く評価しない。しかし、駄作ではないので貶しもしません。心に余裕があれば、微妙に漂う乱歩の体臭を嗅ぎ取り、分析してみるのも一興。