不壊の槍は折られましたが、何か?

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闇に蠢く/江戸川乱歩

江戸川乱歩全集 第2巻 パノラマ島綺譚 (光文社文庫)

江戸川乱歩全集 第2巻 パノラマ島綺譚 (光文社文庫)

 初期の作品なのだが、既に通俗ものの荒唐無稽さがよく現れており、興味深い。やっぱこういう話は体質だったのではないか。ただ、題名どおり非常におどろおどろしいのは間違いなく、ラスト数十ページはショッキングであり、特に印象に残る。もちろん大したことはないわけだが、文章が煽ってくるので、「探偵小説は教育上悪い」とする勢力は真っ先に槍玉に挙げるような作品だ。