不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

名探偵は九回裏に謎を解く/戸松淳矩

名探偵は九回裏に謎を解く (創元推理文庫)

名探偵は九回裏に謎を解く (創元推理文庫)

 江戸前ミステリ第二弾。前作『名探偵は千秋楽に謎を解く』同様、明朗快活な登場人物たちと、彼らが巻き起こす騒動がヴィヴィッドに描かれている。文章もいい意味で平易だ。読んでいてとても楽しいし、わかりやすい。
 単純に明るいだけではない。殺人が起きないにも関わらず、真相は割と重たいのもポイント高い。もっとも、100%救われてしまうので読後感は爽やかそのもの、安心して読める。事件が結構錯綜するのも素晴らしく、そっちの読み応えも十分ある。
 この話を悪く言う読者って、ほとんどいないのではないか。

 そんなこんなで、超初心者からヲタまで、広くお薦めできる好編だろう。