不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

蜘蛛の微笑/ティエリー・ジョンケ

蜘蛛の微笑 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

蜘蛛の微笑 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 二階堂黎人ならば間違いなく嫌いそうな、背徳と官能のフランス・サスペンス。短く端正にまとまっていることもあり、完成度は高い。文章も読みやすい。ただ非常に酷い話なので、清純派の読み手にはお薦めできない。爛れたような雰囲気が魅力なので、ネタがネタではあるけれどバカミスとも言い切れない。異常な執着と執念、そして意思に支配された物語は、読者を選ぶ作品ではある。

 性的&凄惨な話でも構わないあなたなら、まずは何も知らないままで読んで欲しい。
 そういうのが絶対ダメな方は、避けるのが無難でしょう。