不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

極限推理コロシアム/矢野龍王

極限推理コロシアム (講談社ノベルス)

極限推理コロシアム (講談社ノベルス)

 いつの間にか拉致されて連れ込まれた館で、命を賭けた推理ゲームに強制参加。迷惑千万な上に、不気味で不透明なシチュエーションだが、巻き込まれた方はたまったものではなく、皆様パニックに陥って、人間の本性が現れている。より正確に言うと、作者がどのようなタイプの人間に悪意的であるかがよくわかって面白い。要するに体育会系とお局様が嫌いなのね。

 ミステリとしての設定は面白い。しかし伏線やロジックが甘く、本格としてはいかがなものかと思う。これじゃ単なるクイズに近いんですが。また、文章は読みやすいが、作者の39歳という実年齢を考えると、ちょっとアレ。たとえば、25歳の男と女の、セックスはおろかキスさえない恋愛シーン、あるいはラストとか読んでいると、関田涙にも共通する年齢と文章の齟齬が感じられ、なんかこうググッと来るものがありますね。胃から。
 同族嫌悪ですが。