不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

闇のなかの赤い馬/竹本健治

闇のなかの赤い馬

闇のなかの赤い馬

 竹本健治の新作は、ミステリーランドジュブナイルという形で発行された。しかし、あとがきではっきり宣しているように、いつもの調子で書いている。違う点といえば、高校生しか出て来ないという点くらいか。(教師や神父も出て来るが、存在感は希薄)

 で、感想。
 タイトルの馬は、主人公の夢の中にしか出て来ない。この悪夢の描写がまさに悪夢という感じで素晴らしく鮮明。これだけで今回は満足である。事件の真相は非常に竹本らしく、対象年齢は高いというか、少なくともガキには敷居が高い。いや、私は好きですよ、こういうの。

 というわけで、竹本ファンなら読んでも良いと思われる佳作。値段は問題になろうが。