QED 坂本龍馬暗殺/高田崇史
- 作者: 高田崇史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/01/09
- メディア: 新書
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主要な感想は以上に尽きるが、だからと言って全面的に誉められるわけではない。坂本龍馬という近代の存在をネタにしたため、シリーズの従来作と比べて明らかに資料紹介が多い。それはつまり、直接・間接問わず、引用の比率が高まるということである。あからさまに孫引きっぽい説明調の場面が非常に多くなるのは、予想済みとはいえ残念なことに変わりはない。肝心の「暗殺の真相」も、従来ほどのインパクトを与えてくれない。ふうん、まあそうかも知れんわなあ……というだけ。犯意の在り処を普遍的な悪意ともう少し強く結び付けてくれていたら、なんて柄にもなく思う。はあ、面白い仮説ですなあ。それで? という感じは拭えなかった。
現代の事件では、『東照宮の怨』と同様の弱点が透けて見える。正確に言うと、この系統ならもっと凄い作家がいる。だからと言って書くなと言っているわけではなく、『式の密室』の時のように、もっとスタイリッシュに仕上げる手もあっただろうに、と思うだけだ。
まあ総じて楽しめた。ファンにはお薦め。