不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

華胥の幽夢/小野不由美

華胥の幽夢 十二国記 (講談社文庫)

華胥の幽夢 十二国記 (講談社文庫)

 よく考えてみれば、好きなはずの十二国記シリーズの中でこれだけ未読だった。いつの間にかスルーしていた。理由も特に思い当たらない。

 このシリーズ、話の最後の方に「をを、こいつ実はあいつだったのか!」というサプライズを良く出すのだが、シリーズ各作の発表にタイムラグがあり過ぎて、主役以外の人物名が私の記憶に残っていないのである。いや、人物名だけではない。国名・地名も含め、固有名詞系はほぼ全滅。陽子の国の名さえ覚えてなかったからな。ネットの時代なので検索すれば一発だが、それでは作者の狙った効果の半分も恐らく味わえない。さりとて十二国記の全てを、数年間まったく新作が出ない状態にもかかわらず記憶しておくのは大変難しい。そんなのファンじゃねえよ、などと言われると返す言葉はないわけだが……。

 何のことを言っているかというと、表題作「華胥の幽夢」である。最後の方でさも「キタ━━━(゜∀゜)━━━!!」という感じで出て来る、さる登場人物の別名が、誰のことやらさっぱりわからず、思わずネットで検索してしまったのだ。それ以外でも「乗月」で出て来た将軍など、そもそも半獣の登場人物が鼠以外にいたということさえ忘れていた。わかったのは「帰山」での風漢の正体のみ。自分が情けないが、刊行ペースの問題も非常に大きいんじゃないかと思えて仕方ない。

 閑話休題

 いずれにせよ、私はまだファンタジーをキャラ主体に語るレベルから抜け出せておらず、基本的に作品を語る資格がない。よって上記のように、読んだことを記すに留めておく。「ミステリーランドに参加する暇があったら、いい加減に泰に落とし前付けてください」などと書いても仕方ないしな。「華胥の幽夢」が本格ミステリだったのには笑ったが、まあそれくらいかな。