不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

イスラエル・フィル

 土曜日はダブル・ヘッダーだったのです。

 前半はシューベルト交響曲第6番、後半がマーラーの同じく交響曲第6番。指揮はズービン・メータ。
 テロの危険性に怯えつつ、(ステージからはちょっと離れた席で)聴いて参りました。

 シューベルトは天才というか神だと思うが、だからといってすべてが好きなわけではない。交響曲第6番も残念ながらその一つで、何が魅力かいまいちわからない。だから感想は割愛する。演奏自体は悪くなかったと思うが。

 お目当ては後半のマーラー。この曲、大好きなのである。とはいえ演奏は色々な意味で難しく、メータ指揮のイスラエル・フィルは今回、この壁を乗り越えていなかった。大変な熱演ではあって、手を抜いていたわけでは決してないと思う。思うが、我武者羅に弾いて突撃するスタイルは、この曲には通用しそうで通用しない。メータは大振りで、威勢の良い部分だと、ちょっと細部まで手が回っていない感じ。いや、音はしっかり鳴ってましたよ。そこら辺はさすが。私が言ってるのは、もう一歩先の話です。で、静かな場面は晴朗でなかなか良かったが、そもそもこんなに健康的でいいのかという気もした。
 なんだかとても贅沢な不満だとは思うが、演奏に対する感想はこんなところ。

 最後、残念なことに、指揮者やオーケストラがまだ固まっている(音は鳴ってない)のに、盛大にフライングで拍手が入った。メータが指揮棒を止めたまま応じないので、一旦収まったが、取り返しがつかないのは明白。拍手のタイミングというのは難しいが、視力があるなら、舞台上の演奏家の動作に注意を払い、彼らが「緩んだ」状態になってから、拍手喝采を始めれば良いと思う。視力のない方は、周りの聴衆に合わせてください。それが、最低限のマナーだと思し召せ。