不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

麿の酩酊事件簿 月に酔/高田崇史

麿の酩酊事件簿―月に酔 (講談社ノベルス)

麿の酩酊事件簿―月に酔 (講談社ノベルス)

 前作『花に舞』には否定的なことを書いたが、今回もそれを継続する。作者は書いてて楽しいんでしょうね。それも、とっても。

 腹に据えかねる理由を、二、三思いつく。要するに、主人公・麿の口調が、あまりにもキモイのである。三十路越えてあれはないだろ。酔っ払うシーンが特に酷い。「ふにゃ」ってなんだ「ふにゃ」って。俺の上司連中が「ふにゃ」とか言い出したら、俺は逃げるね。逃げいでか。素面の時も、悪い意味で気ばかり若いというか幼い。付き合いきれんよ。ミステリ的な趣向は水準に達しているが、小説面で与えられた不快感を打ち消すには水準じゃ弱すぎる。
 やっぱり私、このシリーズ嫌いです。申し訳ない。早く、QEDの方を……。