家守/歌野晶午
- 作者: 歌野晶午
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2003/11/18
- メディア: 新書
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歌野晶午久々の短編集『家守』も、質の高い粒の揃った短編集と言え、楽しいひと時が過ごせた。
この一冊の本の中で、作者は、様々な切り口から〈家〉というものに迫る。狙い自体はありがちだし、そこで見出される皮肉な情景もまた、小説ではありふれている。しかし、それでも楽しく読めてしまうわけで、歌野のうまさに感心する。ヴァリエーションも効いていて、一作毎に新鮮さを感じ取れるのは素晴らしい。トリック面での無理も、ストーリーに引き込まれてか、あまり気にならなかった。広くお薦めできる佳作と言える。