殺人の代償/H・ホイッティントン
- 作者: ハリー・ホイッティントン
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2003/09/30
- メディア: 文庫
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期待は裏切られず、楽しめた。1958年の作だが、ストレートな倒叙サスペンスをベースに、主人公と彼を巡る女たちをノワールっぽいキャラにした感じである。このキャラ達が魅力の根源。シンプルな文体で、根っからの悪ではないが良心の呵責もない、絶妙な心情描写をさらりとやってのける。筋立ても割に凝っていて、弛緩しないスピーディーな展開も奏功し、読者を飽きさせない。王者かどうかはともかく、この作品が、安手だが最上級の楽しみを与えてくれたのは確か。イデアとしてのペイパーバックそのものという感じ。再評価の機運が高まったらいいなあ。