本格的 死人と狂人たち/鳥飼否宇
- 作者: 鳥飼否宇
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2003/09/01
- メディア: 単行本
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とにかく登場人物たちが変人揃い。妙にとぼけた味が好ましい。フィールドワークをする変態数学者が殺人事件に巻き込まれる「変態」、擬態の講義(学生の楽しい私語付き)をしていたら……という「擬態」、クローンの研究者が人間でクローン作っちゃったんじゃ……という「形態」、いずれも、楽しく読めた。本格として見た場合、「擬態」はなかなかのものだと思う。「変態」は、あまりと言えばあまりなアリバイ工作が面白いが、出来自体は水準にとどまる。「形態」がこの中では一番詰まらない。とはいえ悪いわけではない。
本書最大の問題は、最後の最後に出て来る「実態」であろう。蛇足の一言で片付けるべき気もするが、実際のところ私はそれほど悪い印象を持っていない。とはいえ、つまらんのは事実なので擁護もしたくない感じ。一冊の本としては楽しめる部分が多いので、個人個人の中で需給の折り合いが付けば読んでもいいと思う。