不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

せちやん/川端裕人

せちやん―星を聴く人

せちやん―星を聴く人

 宇宙っていいなあ、という本ではない。これは、一人の男と中学生だった三人の人生が、星々もまたそうであるかのように、淡々と、そして茫漠と、宇宙の中に溶け出し、静謐に帰る様を描く作品である。

 私はこの作品を、やり切れない、沈痛な思いで読み終えた。人生に希望を持っている、あるいは現に楽しんでいる人々には、また違う感想も浮かぼう。