不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

新世界/柳広司

新世界

新世界

 1945年8月、終戦後のロスアラモスにおける殺人事件を描く小説である。オッペンハイマーが書いた小説を、柳広司が翻訳するという体裁を取る。

 『分岐点』や『終戦のローレライ』は、ミステリや海洋冒険ものの意匠を借りつつも、結局は通常の戦争小説と同様の手法を用い、戦争の悲劇を描いていた。しかし『新世界』は、同じく戦争を正面から描きつつも、徹底的に、骨の髄まで本格ミステリである。この点、非常に特異な作品と思う。

 これ以上はとりあえず何も語りたくない。何を言ってもヒントになりそうだからだ。眠いということもある。おやすみなさい。