不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

猪苗代マジック/二階堂黎人

猪苗代マジック (本格ミステリ・マスターズ)

猪苗代マジック (本格ミステリ・マスターズ)

 割と久しぶりの二階堂黎人。水乃サトルのシリーズです。

 変わってないねえ、この人。相も変わらず幼稚な文章で、スキー場絡みの利権云々もとってつけていて浅薄の極み。新聞の投書欄によく載る、ボケ老人かバカ主婦か純真厨房と同レベル。読んでいてこれほど頭痛がする小説も珍しいが、実はなぜか憎めない。文章上のアイデアが、その根幹のところで戦前の探偵小説と通じているからか。……とまあ、遂に本音を書いちゃったわけです。これで、各方面から読み手としても見捨てられることになりそう。

 ミステリ上の構成やネタは、それほど悪くないと感じた。特にアリバイトリックは高ポイント。なるほど、盲点付いてくるなあ。評価が分かれるのは、フィニッシング・ストロークだろう。個人的には結構悪くないと思った。伏線の提示方法はマズイが。