不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

赫い月照/谺健二

赫い月照

赫い月照

 またもや神戸が舞台な上に、しかも酒鬼薔薇
 テーマもそうだが人間ドラマ的にも詰め込み過ぎで、結果として作品が茫洋としている。また文章自体も陳腐な上に未整理。やる気が凄い勢いでカラカラ廻っています。もうちょっと整理してから書いてほしかった。プロの作家なんだし、やりたいことを全て一冊の本でやるなんて無理と気が付いてもらいたい。あと震災にこだわり過ぎとも感じられた。ネットであることに鑑み、「気持ちはわかるが」とか心にもないことを書いておきます。ミステリとしては割と大技だが、真面目で深刻でリアルを志向するお話と合っていない気が。島田荘司って実は偉大だったのね、との思いが頭をよぎる。