不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

陽気なギャングが地球を回す/伊坂幸太郎

陽気なギャングが地球を回す (ノン・ノベル)

陽気なギャングが地球を回す (ノン・ノベル)

 『オーデュボンの祈り』で変な世界を現出した伊坂幸太郎の第三作。人間嘘発見器、スリ、演説好き、時間感覚良すぎの四人組が銀行強盗として活躍する物語。こちらも負けず劣らず変な作品で、妙にリアリティーのない登場人物たちが、軽〜いノリで強盗してしまう。また誰もが無駄に饒舌だし話す内容も起承転結が妙。肝心の粗筋は割と疎かだし陳腐な気もする。

 要はこの四人+αで繰り広げる会話を楽しめるかどうかが、読者にとっての大きな分かれ目となる。軽妙とかいった賛辞も聞こえる一方、「つまんない」という意見もあるようだ。私個人は後者の立場をとるが、たぶん作者が下手とかじゃなくて元々こういう芸風なんだと思われる。

 まあ肌に合わないと言うことでしょうな。